魔術師が主に活動をする領域を「アストラル界(星幽界)」と言います。魔術師は自らの意識をアストラル界へ飛翔させ、様々な作業を行います。アストラルとは直訳すると「星のような」という意味で「占星術(アストロロジー)」の語源にもなりました。私たち人間を小宇宙、星や神の世界を大宇宙とした場合、その中間の世界であり、意識と無意識の架け橋的な概念です。
「創造は二度行われる」という言葉があります。あなたが何かを作るとき、実際に作る前に頭の中で一度完成図を思い浮かべてから作業に取り掛かったという経験があると思います。イメージの中で一度創造してから、リアルで創造するので「創造は二度行われる」といいます。クリエイターやアスリートは自分のイメージの中で作品の完成予想図や、最高のパフォーマンスが発揮された自分の姿をありありと想像します。このリアルの前に創造されるイメージのある場所が、アストラル界の概念とよく似ています。
アストラルは目には見えないし質量も無いので、厳密には物質ではありませんが「前駆物質」と表現されることがあります。「物質になる一つ前の段階のもの」という意味です。この世のあらゆる物質や現象にアストラルがあります。私たちの体にもアストラル体があり、常に私たちの身体と重なっています。「アストラルを制するものは人生を制す」と言われます。アストラルこそが私たちが神として世界と未来を作る材料だからです。
魔術師はタロットやブラックミラーなど様々な道具を使ってアストラル界を旅します。これを「アストラルプロジェクション(星幽体投射)」や「アストラルトリップ」といいます。これらの象徴がアストラル界への扉になってくれるのです。もちろん、慣れてくれば道具を使わなくても入っていくことができます。
アストラルプロジェクション中のビジョンの説明として「夢」がよく使われます。夢の中でまるでリアルであるかのような体験をしたことがあるはずです。「明晰夢(夢の中でこれが夢だと自覚がある状態)」はアストラルプロジェクションに最も近い状態です。
さらにアストラル界では魔術師同士で体験を共有できることができます。お互いが物理的に遠く離れていたり、集う都合がつかない場合は、アストラル界に神殿を作り、そこで集まったり儀式を行ったりします。その際は、あらかじめ場所や合言葉(パスワード)を決めておくことが一般的です。